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松谷武判所蔵作品紹介
ギャラリーアコスタージュ
四国高松 屋島山上 

今、世界の美術界で注目されている具体の作家、
松谷武判のオリジナル作品です。
(当ギャラリー所蔵作品)


素材と官能   松谷武判

1950年代後半から60年代のアンフォルメル旋風の頃、油彩以外の素材に興味を抱き何かを生み出そうとしていた。

ちょうど、市販され始めたビニール接着剤(通称、ボンド)をキャンバスに線上に垂らして非形象の作品をつくっていて出品し始めたが具体美術協会は大変厳しく、「何か人のやらんこと、おもしろい事をやらんとあかん」と、私の作品に批判的。

その頃、ある病院の検査室に友人が勤めていて、細胞組織の血小板と取り組んでいた。
微生物の有機球体に関心を持っていた私は、よくカラースライドや顕微鏡を覗かせてもらって、ヌメヌメと動いて繁殖したり、遊離する形の不思議さにひかれていた。

この形態を造形としてなんとかならないものかと日夜考えあぐね、また、具体の連中を驚かせてみたくもあった。

偶然、垂らしていたボンドが風によって表面から皮膜を作って乾いていくのに気付き、今度は意図的にボンドをキャンバス上に餅の様に丸みを持たせて流し、扇風機で急激に乾かす。
半ば乾いた時に表面を真二つに切り、キャンバスをひっくり返して置いて垂らすように乾かすと、ぱっくり口が開いた状態に仕上がる。
また、別の丸みにはストローで空気を注入し、皮膜化した表面が膨張して見事に柔軟な球体になる。
乳白色のボンドは、時間の経過とともに透明化して皮膜の中は人間の体内の様。

白く着色すれば乳房のように、あるものは火傷の火腫れ状になり、ヌメヌメと生き物の如くへばりつき始め、私の好んでいた微生物の世界は、粘液状のボンドによって実現した。

いまだにこの素材と技法でボンドを流しているが、1970年頃より、球体の表面を鉛筆で黒く塗りつぶし始めた。乳白色から黒へ、形は繁殖と遊離を繰り返している。

たまたま市販された接着剤ボンドの虜となり、素材と偶然性から始まるが、有機性に飛んだ素材と官能性感覚が合致した結果である。

                         版画芸術86 1994より


当ギャラリー所蔵の松谷武判作品につきましては、
お電話、ファックス、メールにてお問合せ下さいませ。

ギャラリーアコスタージュ
香川県高松市高松町3002

電話 087-841-8200
FAX 087-841-9319
Email info@senyotei.co.jp
■ 松谷武判 ビエンナーレ展 ■
1968 第1回パリ国際版画ビエンナーレ展
パリ市立近代美術館
1969 第1回イギリス国際版画ビエンナーレ展
ブラッドフォード美術館
1969 第8回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展
リュブリアナ、ユーゴスラビア

1970

第3回クラコウ国際版画ビエンナーレ展
ポーランド
第2回パリ国際版画ビエンナーレ展
第7回東京国際版画ビエンナーレ展
東京国立近代美術館
1971 第9回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展
1972 第36回ベニス国際ビエンナーレ版画部門出展
第1回ノルウェー国際版画ビエンナーレ
第4回クラコウ国際版画ビエンナーレ展
第3回イギリス国際版画ビエンナーレ展
1974 第4回イギリス国際版画ビエンナーレ展
第5回クラコウ国際版画ビエンナーレ展
第2回ノルウェー国際版画ビエンナーレ
1975 第11回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展
1976 第5回イギリス国際版画ビエンナーレ展
第6回クラコウ国際版画ビエンナーレ展
第3回ノルウェー国際版画ビエンナーレ
1977 第12回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展
1978 第2回ベルギー国際版画ビエンナーレ展
コンデ・ボンスクール
第7回クラコウ国際版画ビエンナーレ展
第4回ノルウェー国際版画ビエンナーレ
1979 第6回イギリス国際版画ビエンナーレ展
第13回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展
1980 第8回クラコウ国際版画ビエンナーレ展
第3回ベルギー国際版画ビエンナーレ展
1981 第14回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展
1983 第1回中華民国国際版画ビエンナーレ展
台湾
1984 第10回クラコウ国際版画ビエンナーレ展
第7回ノルウェー国際版画ビエンナーレ
1986 第11回クラコウ国際版画ビエンナーレ展
■ 松谷武判 受賞略歴 ■
1966 第1回フランス政府留学選抜毎日コンクール
第1等留学賞(京都)
1969 第53回カナダ版画協会展 国際ニコル賞
(トロント カナダ)
第7回オーストリア国際版画展 第3等
(ウィーン)
国際絵画フェスティバル プリ・ナショナル賞
(カーニュ・シュ・ラ・メール フランス)
1972 リエカ国際オリジナル・デッサン展 買上賞
(ユーゴスラビア)
1974 クラコウ版画ビエンナーレ展 買上賞
(ポーランド)
イギリス版画ビエンナーレ展 スコットランド賞
(ブラッドフォード)
1976 イギリス版画ビエンナーレ展 第2等賞
(ブラッドフォード)
1980 リエカ国際オリジナル・デッサン展 国際審査員賞
(ユーゴスラビア)
1983 第1回アントワープ国際版画展 大賞
(ベルギー)
1990 第1回大阪トリエンナーレ展 3等賞
(大阪)
 


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